前回(2018年9月14日)のブログに、『これは最低価格ですので、再度ご依頼頂きましても、今後一切の値引きは致しかねます』 なる和文英訳問題に対する以下、
Although you ask again, we are not acceptable to discount in the future, because of that this is the lowest price.
なる誤訳文に就いて、『さて次に「①誤解から生じた導入部に始まり、②更に誤謬を深め、③壊滅的な結びへと向かう」 とある 「③壊滅的な結びへと向かう」 とは何なのでしょう』 と書きました。今日はこれに就いて考えてみたいと思います。
さて、
Although you ask again, we are not acceptable to discount in the future, because of that this is the lowest price.
なる誤訳文にて何処まで相手方に意味が伝わるかどうかはさて置き、設問を踏まえた上で誤訳者の意図を探れば、其れは 「御社は再び依頼しているけれど今後とも値引きは出来ない。其れ故に是は最低価格なのです」 辺りであろうことが窺われます。さて、此の様に全く一方的で唐突で失礼な理由付けが、ビジネスの現場であるなしに係らず、果たして存在し得るものかどうか。
更に、若し、実際に 「当社は今後とも値引きはできない。よって是は最低価格なのです」 の如き恐るべきメールが取引の相手方に到達すれば、其れを読む客先の反応は一体如何なるものか、更に、職場での評価は。
英文ビジネスメール(文書)は学校等の英語の試験答案ではありません。「思い就く限り、出来得る限り書いたのだから致し方ない、仕方がない」等の小理屈は、もっぱら学生のもの。企業であれば、遅かれ早かれ、現場から排除されるだけのことでしょう。グローバル化が加速的に進み、ビジネスの環境が日々切迫するなか、半端な英語は急速に其の居場所を失いつつあります。
本ブログ 「誤訳の深層シリーズNo.1」 で、『上記英文は ①誤解から生じた導入部に始まり、②更に誤謬を深め、③壊滅的な結びへと向かうものなのですが、「意味は何となく伝わる」 という、当に、職場的且つ典型的な誤訳中の誤訳とも云い得るものでしょう』 と書きましたが、この誤訳文から相手側になんとなく伝わるであろうメッセイジとは、「御社はまたも依頼して来ているけれど将来も値引きは出来ない。其れ故に是は当社の最低価格なのだ」 なる苛烈にして乱暴、極めて危険なものなのです。
此処で because of that this is the lowest price を校正すれば、as our price is already the lowest possible one (当社の価格は既に最低限度額ですので)とでもすべき処でしょう。
さて、是までブログにて、Although you ask again を If you ask us to cut the price againとし、we are not acceptable to discount in the future を、we are unable to discount it again とでもすべき旨御話し致しました。
以上、纏めますと、
Although you ask again, we are not acceptable to discount in the future, because of that this is the lowest price.
なる誤訳文は、
If you ask us to cut the price again, we are unable to do it, as our price is already the lowest possible one.
と、校正されることになります。
本ブログ、誤訳の深層シリーズは、もう少し続く予定です。次回ブログでは該誤訳の中核を成す単語に就いての誤解、誤使用等に就いて御話したいと思います。
英語を核とするグローバル化とAIによる省力(人)化が職場を席巻する今、BEWAで学べば時代を活き抜く英語力が身に就きます。BEWAでAI社会を活き抜く英語力を!!