BEWA講師ブログ

No.18:「意訳」と云う名の「言い繕い」・「害毒」

 「大人の為のやり直し英語講座」 の講義中、ある生徒さんが:
 1) I believe him honest. を:
    S V  O  C
 ③ 「私は彼が正直であると信じる」 と訳しました。
ここで 「彼が」 の 「が」 は格助詞で主格を表します。1)の英文は:
 ① 「私は彼を正直と信じる」であって、③「私は彼が正直であると信じる」ではありません。
「彼を」 の 「を」 は対格を表します。
 ③ の 「私は彼が正直であると信じる」 に該当する英文は:
 3) I believe that he is honest.
    S V     O
であり、その和訳は正確には、「私は彼が正直であると信じる」 ではなくて、「私は彼が正直であることを信じる」 です。そして:
 1) I believe him honest. は、
    S V  O  C
  ① 「私は彼を正直と信じる」
 2) I believe him to be honest. 或いは、
    S V  O   C
  ② 「私は彼を正直であると信じる」
 3) I believe that he is honest. 等の類似の表現も可能です。
    S V     O 
  ③ 「私は彼が正直であることを信じる」
それら各々の和訳:
  ① 「私は彼を正直と信じる
  ② 「私は彼を正直であると信じる」
  ③ 「私は彼が正直であることを信じる」
これら三つの和文になんら違いはない、と思われる方は極々まれでしょう。①~③に移るに従い 「彼」 に対する疑念が深まってゆくことも自明と思われますが、如何でしょうか。
1)~3)の英文も当然にして意味するところが異なり、異なるがゆえに三つの表現が存在することも、自明でしょう。ある段階で、これら三つの英文の構文上の違いが、可能な限り明示的に示される必要があります。そうでないと、外国語に対する誤った母語認識・母語干渉が、外国語学習に深刻な影響を与えることになりかねません。真剣な英語学習が入試等に限定される場合、この影響は顕著で、そのままに其処から抜け出すことは困難と思われます。
少し発展して:
 4) I think the project feasible.
  ④ 「私は当該プロジェクトを実行可能と思う」 
 5) I think the project to be feasible.
  ⑤ 「私は当該プロジェクトを実行可能であると思う」
 6) I think that the project is feasible.
  ⑥ 「私は当該プロジェクトが実行可能であるものと(ことを)思う」
④~⑥を、全く同じと感じる方は極々稀でしょう。
1)~3)或いは4)~6)の表現が、現実には:
 ・I think he is honest.
 ・I think the project is feasible.
等に収斂するであろうことは、また、別のお話でしょう。
初学者こそ直訳が必要です。それも可能な限り、英文をひっくり返さずに其のまま直訳することが、母語干渉を避ける意味で、また、論理を構築する文章構造上の差異を認識する意味で、或る一定の時期まで必須と考えます。

  BEWA 「大人の為のやり直し英語講座」 では、社会人を対象にして、取り掛かり易い教材を用いながら英語を基礎よりご指導申し上げます。社会で鍛え抜かれた社会人には、社会人に相応しい論理的指導法・英語修得法があって然るべきでしょう。社会人の真摯なる学びの場、BEWAで学びましょう。講座見学一回無償。

 

2012/02/10 板書シリーズ   林 行雄

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