空港の免税店で商品を購入するとき、代価を支払って商品をすぐ手渡される場合と、その場では手渡されずに引換券を渡され、飛行機に乗る少し前に券と商品とを交換する場合の二通りございます。何で？と考えられたことは御座いませんか。
　　免税店で商品を購入して、自国に持ち帰る場合、関税、物品税等が掛かりません。免税は、出国する国内で消費されないことを条件として為されます。出国する国内の免税店で購入する際は、それら税を支払い、出国する際に払い戻しを受けることとなります。其の国内で商品を消費すれば、それら税金は還付されません。
空港には：
　1. 代金を支払ったのち登場ロビーで、券と引き換えに商品が手渡される免税店、と
　2. 代金を支払ったのち、そのまま商品が手渡される免税店
の二種類が御座います。その理由は何なのでしょうか。　
　　それは、1.の免税店は、出国ゲートの外： 関税法上の内国（un-bonded area）に在る一方、其のまま商品が手渡される免税店は、出国ゲートを通り過ぎた後（関税法上の外国：bonded area）にあるからです。出国ゲートの先にある（関税法上の外国地域にある）免税店で商品を購入すれば、免税品はそのまま手渡されます。出国手続きを済ませれば、其処は既に関税法上の外国、bonded area だからです。出国ゲートを通り過ぎた後の店で購入すれば、商品を其のまま手渡され、搭乗口で面倒な手続きをせずに済みます。
　　さて、ここで如何にして空港の内国（un-bonded area）に在る免税店が、商品を登場口に届けることが出来るのかと云えば、其れは、保税運送（bonded transportation）、或いは、陸路運送（overland trip） とか呼ばれる方法を講じているからです。
　　成田の貨物を原木に移すとき等（IACTからTACTに移すとき等）、電話等で、通関業者さんに「OLTしますか？」とか云われたりします。OLT とは Over-Land Trip（要許可）の略称です。成田から原木に通関前の貨物を車で運送する際、車中が外国航路の航空機同様、保税地域（関税法上の外国）となります。空港内の内国（出国ゲートを通る前の場所）の免税店店員さんが、日に幾度となく、免税品を航空機搭乗口に運ぶ時、店員さんはOLTしていることとなり、関税法上の内国　→　外国　→　内国と、日に幾度か関税法上の外国航路を行き来していることとなります。

　　BEWA の講師は優に30年を超える企業での国際ビジネス経験をもつジェトロ認定貿易アドバイザー、日本商工会議所主催第44回商業英語検定最優秀合格賞受賞（A級）。他に、日商ビジネス英語検定１級、ビジネス英検Aグレード、通訳ガイド（英語）、英検１級、通関士等、英語、貿易に関する全ての主要資格を取得。工学部、法学部、文学部二学部（二文：文学言語系、文学部：教育学専攻）、計四学部を卒業。ビジネス英語を、基礎よりプロレベルまでご指導致します。
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