BEWA講師ブログ

日本人は何故受動態が苦手なのか:3

「私はバッグの盗まれた」の訳文として:
  ① I had my bag stolen. 或いは、
  ② My bag was stolen.  を挙げ、
「私はバッグを盗まれた」の訳文として、多くの方が書く:
I was stolen my bag. は間違いであることをお話しました。

  今日は、何故、日本語話者は、このような間違いをしてしまうのかについて、私の思うところをお話します。その一つに、機械的暗記を旨とする受験英語があることは否定できないことでしょう。
  ⑦ I was robbed of my bag. を思い出されませんか。Someone robbed me of my bag.の受動態です。a bank robber の意味は「銀行強盗」ですから、⑦は、「私はバッグを強奪された」となります。
  ① I had my bag stolen.
  ② My bag was stolen. 
  ⑦ I was robbed of my bag.
  薄れゆく記憶の中でこれら三つの文章が混じり合い I was stolen my bag. が現れたとしても不思議ではありません。
また、日本語には、「迷惑の受動態」 というものがあります。例えば:
 ・親父に死なれた。
 ・雨に降られた。
を挙げることができます。「死ぬ」 も 「降る」 も自動詞ですから、英語であれば、これらは受動態にはなりません。しかし、日本語では受動態になるのです。
  さらに、日本語にはもともと 「主語なるもの」 が存在しませんから、能動態の目的語を主語とし、主語を副詞句 (by + 主語) とすることにより成立する英語の受動態は、日本語話者にとって本来的に極めて捉えにくい事象と云えるでしょう。薄れゆく大学入試の記憶、母語である日本語の英語への干渉、曖昧な文法知識、それらが混じり合い生まれた亡霊、それが I was stolen my bag. なるものの正体とも云えるのではないでしょうか。

ところで 「雨に降られた」 は
  I was caught in the rain
と表せますがですが、これは:
  I was caught in the rain by God. から生じたものと考えられます。
  The mountain was covered with snow (by God). の場合と同様でしょう。「雨に降られた」 を、「私は雨に降られた」 と話す母語話者はいないでしょう。「私は雨に降られた」 と云えば、「あなたは雨に降られなくとも、私は雨に降られた」 を含意します。
  ここで 「私は」 の 「は」 は係助詞であって、「私に関しては」 の意味となります。「私は」 はもともと主語ではなく、実は 「副詞句」 であることがわかります。日本語の 「私は雨に打たれた」 は「私に関しては、雨に打たれた」の意味であって、更には、格助詞 「が」 を用い 「私が雨に打たれた」 と云う母語話者は皆無でしょう。元々 「が」 は 「武蔵が国の住人、山本玄斉の太刀を受けてみよ~」 の 「が」 のように属格を表すとも言われています。 

  言語の歴史は旧く、その論理は果てしなく精緻です。詳しくは 「ビジネス英語の真髄」 をご覧ください。BEWAビジネス英語スタート講座は七回の講義からなり、「受動態」 の講義では、母語干渉も併せ、英語の受動態の本質を懇切丁寧にご説明いたします。
受動態と関係代名詞の本質的理解は、ビジネス英語理解の鍵と云えます。
  The goods damaged in transit will be sent back to you by the Yorkshire Maru leaving Yokohama on May 21.
「運送中に破損した商品は、5月21日に横浜を出港するYorkshire 丸にて御社に返送されます」
の 「The goods (that were) damaged in transit」 が受動態となるのは、動作主(主語)が分明でない為で、これが、ビジネス英語に表れる典型的受動態の一つと云えます。

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2011/07/11 ビジネス英語   林 行雄

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