BEWA講師ブログ

冬空に向かい逆さに燃え立つシクラメン

  家内とつき合い始めたころ、実家のあった深川の裏通りで真っ赤なシクラメンを一鉢買った。部屋に届けると、シクラメンは、良く陽の当たるガラスの窓の傍で、見るたびに生気を増し、真紅の花をたくさん咲かせていった。  以来、毎年、シクラメンを購入している。シクラメンが珍しかった頃は、店先に並ぶ花弁の色も赤と白だけだったように思う。そのうちに、実に様々な色合いのシクラメンが店先に現れるようになった。薄い赤、ピンク、ピンクと白の混ざったもの、そしてなんと紫色っぽいものまで、花弁の大きさも形も様々に、色々なものが置かれ始めた。

   紫色のシクラメンでは悲しい思いをしたことがある。家に持ち帰ってみると、色が微妙に違って見えた。紫色っぽい花弁の色は日毎に混濁し、終いには、形容し難い黒っぽい色となって行った。近頃、店先で紫色のシクラメンをあまり見かけないようだ。私のような思いをした人が結構いるのだろうと思っている。  初心に還り、今年は真紅のシクラメンを三鉢購入した。一階の居間の窓際、二階の書斎の窓際、それと去年設立した英語学校の棚の上に置かれている。

  深紅のシクラメンは、花弁を逆さに、燃え立つように陽光に向かっている。

2011/02/01 エッセイ、他   林 行雄

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