BEWA講師ブログ

No.15:万聴・万叫は一考にしかず

昨日:
  1)I heard him pass the door.
  2)I heard he passed the exam.
の二つの文章は:
  1)I heard him pass the door.
    S V    O   C
  2)I heard he passed the exam.
    S V      O
即ち:
1)はSVOC文型
  私は彼がそのドアを通り過ぎるのを聞いた。
2)はSVO文型
  私は彼がその試験を通ったと聞いた。
の意味となることをお話しました。
今日は、何故、そのような意味となるかをご説明いたします:
  1)I heard him pass the door.
    S V     O   C
  2)I heard he passed the exam.
    S V      O
の1)では、heard が知覚動詞、pass は知覚動詞の目的格補語ですので、目的語 him の後ろに位置する 不定詞は本来のto pass より to を省き、heard pass の形を採り、文章は:
  1)I heard him pass the door.
    S V   O   C
となります。次に:
   2)I heard he passed the exam.
では、元々の文章はI heard that he passed the exam. と、heard と he の間に接続詞 that が存在しており、he passed the exam は、(that) he passed the exam と、heard の目的語として機能する名詞節であることが分かります。従って:
  2)I heard he passed the exam.
    S V      O
と、SVO文型であることがわかります。意味は「私は彼がその試験を通ったと聞いた(通ったことを聞いた」となります。
  文章構造の違いを理解することなく、単なる慣れや、単に聞き流すことにより、英語力をつけようとすることは、非効率このうえない方法であって、すぐに行き詰ることでしょう。母語話者が辿って来た遥かに遠い母語習得の過程(道のり)を、外国人が真似る(辿る)ことは、凡そ不可能にして、且つ、極めて益の少ない方法でしょう。
  ゼロ歳児に戻り母語話者を母親とすることは、とうに不可能ですし、「ゼロ歳児から母語を習得する過程」 こそが、「言語なき動物が思考する人間に変わって行く過程」 とも云えるからです。人は、ゼロ歳児に始まる本能的ともいえる程に旺盛な好奇心と生命力とをもって、主に母親等との交流を通しながら、果敢なる努力の末に母語の文法構造を獲得してゆきます。
  人の脳は、母語によって構成されていると云っても過言ではないでしょう。外国語を用いるとき、人の脳は、膨大な母語情報により精緻に構築された論理構造を参照しながら、外国語の論理構造を探り、母語脳を果てしなく検索しつつ、外国語の論理構造・意味構造に辿りつこうとする筈です。外国語(英語)に習熟する過程で、母語(日本語)と外国語(英語)を検索し参照する速度は増すにしても、脳を構築する母語(日本語)を無視し、外国語(英語)を考えることほど、非効率な方法もないことでしょう。母語(日本語)で理解できない或いは語ることのできない事象は、結局のところキッチリ理解できてはいないのです。
  英語の基礎的構造を理解せずに、なんとか遣り過ごしてしまおうとする事ほど、英語力養成にとって遠回りなことも御座いません。それも、企業用言語であるビジネス英語となれば、尚更のことでしょう。お金を稼ぐことを目的とする企業用言語は、日本語であれ、英語であれ、お金を消費する 「遊興および生活用言語」 とは一線を画するものです。これが、学校言語(学校日本語・学校英語)と企業言語(企業日本語・企業英語)との大きな違いです。ですから、新卒者が一人前の営業マンとして日本語を用いることが可能となるには、まず10年は掛かるのでしょう。これこそが、学生が一人前の社会人に成長、変身する過程と云えるかもしれません。
  学生同士等の会話(英会話)が、文法を凡そ無視したものであっても、それなりに用が足りるのは、単に、それら言語が企業で必要とされるような、利益の創出を目的とする、或いは、お客様を対象とする言語とは、凡そ、性質を異にするものだからでしょう。この種の事柄が、無邪気、声高に唱えられるような事象とは、到底考えられません。凡そ文法を無視した日本語(英語)を御客様相手に用い、企業で仕事が遂行できると考える営業マンが、果たして存在するものでしょうか。
  ビジネス英語とは、充分な企業経験を有する者のみが、指導可能な言語と云えるでしょう。万聴・万叫は一考にしかず。公式を見ずして数学を学び、語ることは不可能でしょう。又、そうする事に、何らかの意味・意義が存在するものでしょうか。効率的に英語を身につけるには、論理的、効果的な指導・学習が必要です。また、指導・学習にとって、充分な思考・理解を省こうとすることほど、有害なことも御座いません(「学ぶとは、情報か、技能か、理解かの何れかを獲得することであり、学習は情報獲得にまさり、理解は学習にまさる(フランス人哲学者、オリヴィエ・ルブール: 「学ぶとは何か」 より」)。
  理解を抜きにした、無意味記憶は長続き致しません:消しゴム、長靴、蝋燭、割りばし、日本橋一丁目、5年生の男の子三名・・・・・このような、前後関係のない言葉等を記憶することを、無意味記憶と呼び、記憶術ではこれ等を一続きの絵として覚えるようですが、この種の記憶が長く続くものでもなく、其処に学問的意義も存在しないことでしょう。
  的確、具体的な指導、学習を通し最も効率よく英語を身につける。BEWA は社会人の為の真摯なる学習の場です。講座見学に御出で下さい(一回無償)。ご見学の後、執拗に電話勧誘するようなことは BEWA の方針として一切おこないません。   

2011/10/13 板書シリーズ   林 行雄

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